朝のお寺につどい、お経を唱え、箒やぞうきんを手にして掃除をする…
「その場での体感」というTemple Morning最大の魅力が高いハードルとなってしまった2020年。
そんな中、モニターの前につどい、リアルタイムの画像を共有し、各自、身の回りの掃除をするというカタチでのTemple Morningを実現させたお寺があります。
Temple Morning事務局・横山瑞法さんのお寺(山梨県南アルプス市・法源寺)もそのひとつ。
実際に「オンライン、やってみた」現場からのレポートをお届けします。
まさか、テンプルモーニングが開催できなくなる時が来るとは…。
いや、厳密にいうとテンプルモーニングは毎日お寺にやって来るのだけれど、それを皆さんと一緒に楽しむことができなくなるとは、つゆほども思いませんでした。
そこに至ったコロナに関する経緯は書くまでもないので割愛いたします。
当然、お寺の活動も引き続き最大限の配慮の中で行わなければならず、普段の法事や法要など基本的に人を集めることが前提であるものが多いので依然として難しい局面にあります。
Temple Morningも例にもれず、お寺に人を集めて行うものなので今まで通りの開催は難しい状況です。
そんな中、すでにテンプルモーニングを通して皆さんと「お寺の朝」をシェアリングする喜びに取り憑かれていた自分に気が付き、それができないことで悶々とお寺の朝を独り占めしてばかりいた私ですが、いろいろなモノやコトが急速にオンライン化されていく流れにのって、オンラインでのテンプルモーニングを開催してみました。
せっかくなので、また同じ状況になった時に役に立てばと思い、使ったツールや注意点、感じたことなどをシェアさせていただきます。
【ツール編】
Zoomを使ってオンライン開催しました。
Zoomについてはこちらを参照してください。
一方的なライブ配信ではなくZoomを使った理由は、双方向のコミュニケーションを取れた方がお話の時間も含めたテンプルモーニングらしいかなと思ったからです。
しかし、ライブ配信と併用しても良いと思います。
名古屋の教西寺さんでは、Facebookでのライブ配信も同時に行なっていました。
Zoomで開催するにあたって注意することを箇条書きにしておきます。
・有料アカウントの登録が必要
3人以上で40分以上つなぐ場合は有料のアカウントが必要になります。およそ1時間くらいのプログラムで開催している寺院が多いと思うので、有料アカウントが必要になるかと思います。
◉できれば主催側は2人以上で
これは、オンライン配信全般に言えることですが、法要の配信は式の執行をする僧侶は法要に集中せねばならず、不測のツールや機材トラブルの対応、入室許可等のメンテナンスができません。法要を執り行う僧侶以外にもプラス1名現場にいてくれると、法要に集中できるので、可能であればプラス1名現場に配置することをお勧めします。
ちなみに、ウチは私のワンオペでやっており、途中の入室許可が必要ないように待機室を無効にしています。
※待機室とは、実際のビデオミーティングに入室する前に、ホスト(主催者)の参加許可が必要になる機能。
◉SNS等でミーティングIDをオープンに告知をしない
一時、セキュリティについて脆弱性が指摘されたZoomですが、現在は改善されていますが、IDをオープンにしてしまうといたずら目的の方が入ってこないとは限りません。
前述のようにプラス1名の配置が確保できて、待機室を有効にできればまだいいのですが、ワンオペのオンラインテンプルモーニングの場合、途中参加者を迎え入れるためには待機室を無効にせざるを得ません。(=ホストの許可なしの入室を可能にする)
その場合には、安全・安心な場の確保のため、事前に参加申し込みを受付けて、その方たちのみにミーティングIDをお知らせするようにしています。
【機材編】
機材というほど大それたものではありませんが、私が使ったものをあげます。
◉基本的に自前のもので十分
配信には元々所有していたMacBookPro13inchを使いました。
初回は内蔵カメラと内蔵マイクのみで配信しましたが、掃除の時間に本堂入り口の下駄箱の上に置いたら、掃除中に砂利を踏みしめる音や近くではく箒の音なども聴こえたようで、十分現地の雰囲気を伝えることができたようです。
映像の画質も音質も取り立てて良いわけではないですが、現場の雰囲気が伝わったのであればそれで十分なのかなと思いました。
しかし、個人的な感覚としては「音」の部分が大切かなと思い、2回目からはちょっといいマイクを使うようにしました。
機材に関しては、現在配信用の機材が品薄ということもあり、慌てて良いものを揃えなくてもまず手持ちのものでやってみることをお勧めします。
◉コンテンツ編
やることはいつもと同じです。
お経(20分)、掃除(20分)、お話(20分)
お経については、事前にPDFで読むもののデータをお渡しして一緒に読んでもらえるようにしています。どこかお経のテキストが載っているサイトのリンクだけで済まそうと考えていましたが、ちょうどいいものがなく自作しました。
横着はできませんね!笑
当初は、読むお経のみのデータでしたが、現在は朝のお勤めの流れと簡単な解説をつけたデータを事前に配布しています。
掃除の時間になると、参加者さんには各自身の回りの掃除をしていただくようにしています。
配信から聴こえる鳥の鳴き声や掃き掃除の音、砂利を踏みしめる音などを聴きながら、皆さん家の掃除など家事をされているようです。
最後に、お話の時間。
オンライン参加の感想を聞いたり、各地の天気の話題で違いを比べたり、結構話が盛り上がります。
一番盛り上がったのは、バーチャル参拝でした。
私以外に他のご寺院にも参加していただいた時には、スマホやPCを手にお互いの境内を案内し合って、季節の花を見せ合ったりして、参加者の皆さんととても盛り上がりました。
そして、まだ行ったことのないお寺を映像で見みた皆さんが口々に言ったのは「行ってみたくなった」という言葉でした。
オンラインテンプルモーニングはオフラインのお寺と繋がっていると実感させられた経験でした。
【これからのオンラインテンプルモーニング】
集まることが難しい期間はしばらくオンラインでの開催を続けようと思います。
が、またお寺に人を集められるようになった後も続けるかということを考えると、半分NOで半分YESです。
通常ペースの開催は、オンラインでは行わず、以前と同じようにオフラインのみでの開催をしていこうと思っています。
理由としては、ホストとしての住職が1人でワンオペである以上、オンラインとオフラインを同時に回すことは不可能だと感じているからです。
今後、オンラインでもその場にいるかのように参加できるようなツールが出てくれば、オンラインとオフラインを共存してやってみるかもしれませんが、それはまだまだ先の話のように思います。
では、オンラインテンプルモーニングはやらないかというと、ペースを落として通常開催とは別枠で開催しようと思います。
理由は2つ、1つは遠くのテンプルモーニング仲間と交流したいということ。2つめは、未だ近くで開催寺院がない方や様々な事情があってお寺には行けない方に、テンプルモーニングを知ってもらうための活動にもなると思うからです。
【まとめ】
なんだか、オンラインイベント開催の手引き的な内容になってしまいましたが、今回の件でオンラインとオフライン双方の価値を確認することができました。そして、両者は分断されているのではなく、つながっていて、お互いにシナジー効果を生じていけそうです。これから、双方をうまく活用していくことで、さらにテンプルモーニングを広めることに活用できそうです!
現場からは以上です!
Temple Morning事務局・横山瑞法(山梨県南アルプス市・法源寺)
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